「真田先生!!」
「うわっ!はっはい!!!」



突然声がかかって吃驚して少し声が裏返ってしまった。
それでも俺はなんとか平静さを気取ってイスをくるりと回転させて振り向く。 そこにはな、なんと先生がいた!!(お、落ち着け俺!!)



「ど、どうしたの?先生!(まさか声掛けてくれるなんて!)」
「瑞希くんのことで、ちょっと」
「へ?あいつがどうかした?」
「どうかしたなんてもんじゃないんです!瑞希くんいつも補習に来なくて」
「あーあいつは変わった奴だからなぁ(なんだ、斑目か・・・)」
「ん?どうしたんですか、ため息なんてついちゃって」
「ああ、ううん!な、なんでもない!ところでその網は何・・・?」
「これですか!?清春くんにもらったんです!」




マダラつかまえんなら、こいつで楽勝だぜェ、って言ってたんで!と 腕まくりをしながら仙道の真似をする先生は葛城さんでなくても可愛いと言ってしまうのも 無理はないくらいの可愛さで。(あれ、日本語可笑しい?) 仙道はとてつもなく悪戯好きの問題児だけどそれもこの先生がやると 思わず笑みがこぼれそうだ。 あの細い腕がB6たちを押さえつける頼りがいのある腕になるとは誰も思わないし、 あの小さな口からB6たちを押さえつけるくらいの言葉が出るとも信じられない。 なんてったってってすごく可愛いから!









「真田先生!真田先生ってば!!フリーズしないでくださいっ!」
「あ、ごご、ごめん!」
「まったくもー!聞いてました?私のはなしー」
「え、えーっと」
「聞いてませんでしたね?!」
「(近っ!近いんだって!!)」
「だからですね、付き合ってくださいって言ってるんです」
「付き合って・・・?えっ?ええ?」
「やっぱり鳳先生の言うように待ってるだけじゃ駄目かなって思って!」




頑張るって決めたんですっ、と力強く力説しているところ悪いんだけど、 俺の心臓はどきどきと高鳴って、ああもう破裂してしまいそうだ。 体中の血が一気に頭に昇って何も考えられなくなって、頭のてっぺんからつま先の先まで ピシッとアイロンをかけられた様になってしまった。 恥ずかしい話だけど、それほど俺にとっては重大も重大、超重大なことだったから。
先生が付き合ってくださいだって?俺?俺と?!
俺は夢を見ている・・・?!信じられない!!
でも答えなんて決まってるもっちろんYESだ!!!





「お、俺で良かったら是非!!!(言った!俺言ったぞ!!)」
「本当ですか!!嬉しいです、ではさっそく!!」


ぐいっと手をひかれて、職員室の外へと駆け出す先生。 一方俺には訳がわからない。でも手を繋ぐことができたのはすごく嬉しい。 でも何をするつもりなんだろう?




「ほんと真田先生が付き合ってくれるって言ってくれて良かったです」
「そ、そう?(先生の満面の笑み!まぶしいっ!)」
「だって他の先生方は皆都合が良くないって言ってて」
「うん?(どういうことだ・・・?)」
「南先生に喜んでもらえるように2人で頑張りましょうね!!ファイト―!!」
「え、どういうこと?(話の流れが掴めないんだけど・・・?!)」
「どういうことって真田先生・・・大丈夫ですか〜?捕獲しに行くんですよ」
「な、何を?(捕獲って・・・)」
「さっき瑞希くんを捕獲するのに付き合ってくれるって言ったじゃないですか!」
「は、ははは・・・そっか(うーわー!)」




俺が経験したのは見事なほど自分の欲に忠実な勘違いだった。
あーは、恥ずかしい・・・! 真田先生?と首をちょっと傾げてみせる先生は まだ俺のこの高鳴る気持ちには気付いていない。(はず)(ああもうくそ、可愛いなぁ!)
残念だって気持ちもあるけどやっぱりこれは、俺が頑張らなきゃいけないことだ。


最近、先生に話し掛ける前に斑目に先を越されたり、一緒に帰ろうって頑張って誘おうとした 矢先に真壁のバイクに乗ってる先生を見たり、水鉄砲でやたら攻撃されたり、ネコが襲ってきたり、 教室のドアを開けたらやたらと格好良い大きいそろばんが落ちてきたり、先生に抱きついて離れない 悟郎の姿を見たこともぜーんぶぜーんぶこれは俺への試練なんだ!




・・・そうじゃないと俺、ちょっとくじけそうなんですけど。




試練に打ち勝て!
先生!」
「あ、真田先生!何ですかー?」
「あ、あの今日時間空いてるんだった「ちょーっと待ったぁー!!!!」
「か、葛城先生?」
ちゃぁーん?俺と今日はデートでもしなーい?」
「(バコッ)これは始末しておくからね。ところで今日この後空いているかな?」
「へ?鳳先生・・・葛城先生が床でのびてますけど・・・」
「これは気にしなくていいよ」
「えええ、でも泡吹いてるんですけど・・・!」
「(しまった!他の先生たちもか!!!あーもーくそっ!)」







思ったけれど、(瑞希くんの)(捕獲に)付き合ってください、って言われたらT6は迷わず付き合ってくれると思う。
忙しいとかそんなこと絶対言わない(妄想)