おいしいもの、大好きなものっていうのはなかなか飽きないものだ。 私はパンの中ではクリームパンが1番大好きで、昼ごはんにはいつもクリームパンを 食べているのだけれどやっぱりクリームパンは飽きることはない。 そして今日も中庭のベンチに座りながら、お昼を取っている。



「ふはーやっぱおいしいわぁ、クリームパン!」
「まーたそれ食ってんのかァ?つまんねー奴だな!キシシッ!」
「き、清春く、ん!お昼食べてたんじゃなかったの?」
「そんなんあっと言うまに食っちまったぜェー!」
「そっかーいいよね、バカサイユでのお昼ご飯、やっぱおいしいでしょ?」
「まぁーなァー、ブチャにはもったいないぜェ」
「いいもん、私にはクリームパンがあるからさっ」


突然現れた清春くんに多少びっくりしたものの、変わらず昼食であるクリームパンを むしゃむしゃと食べ続ける。いやでも実はバカサイユの山田さんの料理も捨てがたかったりね! 本当にみんなかなりいいもん食ってると思うよ。羨ましい限りだ。



「今度山田さんに作ってもらおうかなぁ・・・あ、でもアレお金いるよね!」
「さぁなァ、カベにでも言ったら食わせてくれんじゃねェの?」
「山田さんの料理って凄いおいしそうだし、ついつい食べ過ぎちゃいそう・・・!」
「いいんじゃねェの?ブチャがよりブチャになるだけなんだからよォ!」
「まったくそんなことばっかり言ってー!」
「オマエもそんなモンばっか食ってっから、出るトコ出ねェんだよ!」
「な!なんてことを!そんなこと言ったって私、クリームパン好きだし・・・」
「オレ様、オマエがそれ以外のもの食ってるとこ見たことねェぜ!」
「え、食べてるよ。南先生のお弁当とか、真田先生から貰ったおにぎりとか!」
「・・・!ブチャ・・・あの弁当食ったのかァ?マジで信じらんねェ!!」
「・・・なんでそんなに驚くのよ・・・」



南先生はたまにクリームパンだけの昼食を取る私を気遣ってか、お弁当をたまに差し入れしてくれる ことがある。まぁ・・・見た目は全部真っ黒に染まってるけど、味はおいしいからイカ墨かなんかだと思って 食べてるんだけどね!でも卵焼きも真っ黒、鮭も真っ黒ってどんな調理法してるんだろ・・・? 不思議でならないけど南先生の好意は素直に甘えることにしている。 せっかく私のために作ってきてくれたんだしね!私のために!


「しっかしこのクリームパンはおいしいわよー!絶品!!」
「ンナことはどーでもいいんだよ!」
「生地もしっとりしてて凄くおいしいし!てゆうかね、このクリームには秘密があってね!」
「(ムカ)・・・知らねェよ!」
「バニラビーンズがたっぷり入っててそりゃもう素晴らしいものなのよ!」
「(ムカムカッ)オレ様には関係ねェ!」
「そういわずに!是非この美味しさを清春くんにも分かって欲しいのよ!」
「(ムカムカムカッ)ウゼェ!」
「これは衣笠先生に頂いたものなんだけど、クリームパンっていっても色々あるの!」
「(ムカムカムカムカッ)話を聞けよッ!・・・貸せッ!」
「ぎぃゃぁああ!!なにするの、清春くんっ!!!!!」



クリームパンのことになると止まらない私は食べかけのクリームパンを持って、 クリームパンの素晴らしい味について清春くんに語ってあげてたのだけど 何を思ったのかいきなり清春くんは私の手からクリームパンを奪ってぶんっと放り投げた。
クリームパンは綺麗な孤を描いてそして良い具合にその落下地点にはみずたまりがあり ぼちゃん、と音を立てていたところを見ると、もう私のクリームパンはもう食べれる状態では ないだろう。なんてことだ!ああああああ、私のクリームパン!!
自然と、地面に膝をつきがっくしとうなだれてしまう。あれ結構高級品なんだけどな・・・。 衣笠先生すみません・・・!私悪魔からクリームパンを守ることが出来ませんでした・・・!



「・・・クリームパン・・・私の・・クリーム・・・パン・・・」
「オレ様の前でクリームパンの話なんかしてっからダロ!ザマミロ!ケケケッ」
「ちょー!もうそれはないでしょ!いきなりクリームパン投げるなんて!酷っ!」
「知らねェっての!クリームクリームうるせェんだよ」
「いいじゃん、好きなんだから!」
「その言葉はもう飽きたつうの!耳にタコスができるぜェ」
「タコスってなによ!たこでしょそれ!ああ、もうやっぱり補習しなきゃ・・・!」



記憶力はいいといってもまだまだらしい。その証拠がこれだ。
ああ、南先生・・・!ちゃんと2人で頑張って清春くんに補習を受けさせましょうね! 衣笠先生とか真田先生とかもお呼びしてさすがに4対1だったら清春くんでも降参するよね。 それにしてもはーぁあー・・・クリームパン・・・。大人げないとは思うけどさ、実際大好きな ものがみずたまりに落ちたらがっかりするよね。ほら、ちょうどアイスを食べようとした瞬間に コーンから落ちるとか、そういうの!おあずけくらったみたいでさ。


「私は心が広いので今回のことは許すけど罰として今日の補習は必ず出ること」
「ウゲーッ!ぜってー出ねェての!しかもメチャクチャ棒読みだしよォ!」
「だってアレよ、あのクリームパンの無残な姿・・・はぁぁ」
「もうクリームのことはいいっつうの!しかも許すつったダロ!?」
「あーああと半分は残ってたのになぁ・・・クリームパン」
「バッカじゃねェの!そんっなにクリームが好きかよォ!」
「好きよ!世界中でいちばんっ!」
「・・・!」
「ああでもクリームパンの次にクロワッサンが好きだしなぁ。清春くん好きなパンある?」
「・・・んなモンねーよッ!」
「さっきから清春くん、イライラしてる?あ、カルシウム取るといいよ!小魚とかね」
「誰のせいだと思ってんだよォ!」
「は?誰?」
「(イライライライライラッ!)」



何かがぷっちん、と切れた音がした。
嫌な予感がして清春くんを見ると、さっきまで無かったはずなのにいきなりウォーターガンを 構えていた。目標は・・・私ぃぃぃいい?!というか私以外にいないよね!
しかも何だかウォーターガンがいつもよりもでかいんですけど。2、3倍大きくなってるんですけど。 気のせい?気のせいかな?気のせいだと思います。
そんなことを考えていると びしゃっと勢いの良い水音がして、見事私の顔に命中。うっ・・納豆くさい!なんじゃこれーっ! ていうかむしろ私がイライラしなきゃいけないんじゃ?すごく理不尽!いやもうそんなこと 今に始まったことじゃないんだけどさ!



「これ、納豆!?ねばねばじゃん!!!」
「カベんとこで改造してもらった威力抜群のウォーターガンと納豆ネバネバ水だぜェ!」
「納豆は好きだけど・・・!好きだけど顔全体にやられるのはちょっと困るし!」
「ヒャハハハハ!これでブチャな顔がますますブチャにッ!」
「ぐええええ・・・気持ち悪い!!」
「これに懲りたら二度とオレ様の前でクリームとオバケについては話さないことだぜェ!」
「・・・なんでやねん」






悪魔の気持ち
「セーンセ☆ハグハグー!!きゃーっ!!」
「悟郎くん!びっくりしたなぁもう!」
「キャハッ、センセごめーんっ☆ゴロちゃんセンセに会えて嬉しくってつい!」
「それは嬉しいんだけどね・・・」
「副担、この異様な匂いはなんだ・・・?」
「それは翼くんのせいでしょ!!」
「WHAT?何のことだ?」
「清春くんに納豆ネバネバ水を渡したでしょ?あれのせいよあれの!」
「フッ・・・なるほど、あの貴重な納豆ネバネバ水を副担に使ったのか」
「うれしくないし!いい加減にしてほしいし!!」
「キヨってばゴロちゃんのセンセになんてことしてるのー!ポペラプンプン!」
「貴重な納豆ネバネバ水を使うなんてよほど気に入られてる証拠だ」
「もうちょっと違う気に入られ方がよかったな・・・もっと平和な感じの」
「無理だろう。あの清春に気に入られるだけ凄いことだと思っておけ」
「思えんつーの!!」





春なので別にストーリー性がなくても許してください。
とにかくクリームパンのことばっかり話しててつまんねェの!とか思ったとか、
そんな話だと思っていただければ(あとがきでわかる話ってどうなの)