「ツバサツバサ〜☆ゴロちゃん良いこと思いついちゃったぁ〜☆」
「WHAT?良いこととは何だ」
「あ・の・ね!バカサイユで〜きもだめししようよぉ!」
「キモ、だめし?」
「そうそう、いい考えでしょ?ねぇツバサ〜ゴロちゃんからのお願いっ」
「おっ、なにやってんだ?」
「あ、ハジメ!ね、ね、今きもだめしやろうよ〜って言ってたの」
「そりゃいいな!みんなを呼んでさっそくやろーぜ!」
「きゃーん、ハジメってば乗り気ぃ☆」

「おい、キモだめしとは何だ?」

「お、お前きもだめしやったことなかったっけ・・・?」
「ツバサ知らなかったの?ゴロちゃんが教えてあげる〜、きもだめしっていうのはね」
「・・・きもだめしというのは?」
「こわぁい暗闇の中ででラブラブ出来ちゃう画期的なイベントのこと☆」
「おいおい、悟郎・・・って翼?!」
「それはNICEなイベントだな。永田!きもだめしの準備だ!」
「――承知いたしました、翼様」
「やったぁ〜☆じゃあみんなに言ってくるね!ポペラ楽しみー!!」



こうして聖帝のB6たちによってきもだめしは開催されたのであった。
しかもあの真壁財閥主催というのだから怖さも尋常なものではない。 バカサイユ全体がきもだめし用へと改装され見た目からしてすでにおどろおどろしい。 不穏なオーラがこっちまで漂ってくるようだ。 そんな中そのきもだめし大会にもれなく参加することになった教師がいた。



「ってなわけで〜南センセとセンセに来て欲しいんだけどっ☆」
「え、わ、わ私?!悪いんだけどすっごく怖いの苦手なのよーっ!!」
「そんなこと言わないでっ☆プリティーなゴロちゃんが守ってあげるから!」
「無理なものは無理よぉー!!お願いそれだけはっ!!」
「悠里先生っ!どうしたの?」
「あ、先生?!悟郎くんがきもだめしに誘ってくれてるんだけど私すごい苦手で・・・」
「せっかくなんだから南センセとセンセで入りたいの〜ラブラブしたいの〜!!」
「・・・この通りなんです」
「じゃあ私が悠里先生の分まで頑張ってきます!!悟郎くん、それじゃ駄目?」
「南センセが来ないのは残念だけどそんなに駄目ならしょうがないかぁ」
「本当っ?良かったですね、悠里先生っ!」
「南センセの分まで一緒に楽しもうね、センセ☆」
「・・・ところで、先生は平気なんですか?」
いや、もうむっちゃ駄目
「だだ、だ大丈夫なんですか?!無理しなくても・・・!」
「いいえっ!悠里先生のためなら頑張れますからっ!!任せてください!」
「あんまり・・・無茶しないでくださいね(心配だ・・・)」
「はいっ!頑張りまっす!!」


とまぁ、ここまではいいのだが・・・。
なんにしろ、怖い。怖いものは苦手だ。ホラー映画をテレビで見たら怖くてトイレに行けなくなり、 2階に上るのも怖くなり、お風呂で髪を洗うのも怖くなって大変な目にあったことがよくあった。 っていうか苦手というレベルを超して、もう きもだめしと言う単語だけでももう無理なんだけど悠里先生が困っている今、救える人間は 私しかいないんだ!こういうときにこそ副担が支えにならなければ! いざっいざぁーっ!!・・・と思ったのだが。





「・・・何故こんなに本格的なのかな・・・うん」
「クックックハーッハッハッハ!真壁財閥にとってこれくらい訳もない!」
「ああ、そう・・・私、翼くんを甘く見すぎてた・・・ごめん」
「そうかそうか、そんなにこれが気に入ったかっ!!」
「あー・・・・」


全然うれしくねぇぇぇえええ!!!
心の声は一切出さず(いやむしろ圧倒されて声も出なかった) 隣で高笑いをしている翼くんを恨めしい気持ちで見上げた。 視線に気付いたのか、翼くんは最終チェックに行ってくる、と行って立ち去ってしまった。 あーチェックが長く!長く!なるべく長くかかりますようにっ!!点検する時点でなにか不備がありますようにっ!
そして私は次に、この事態を引き起こしたとされるいつもにまして可愛い悟郎くんに視線を移した。 凄く乗り気でるんるんとしているのが傍目にみてもよくわかる。 彼の周りだけはピンクのオーラが取り巻いているように見える。花も飛んでいる。何故だ。

それとは対照的にいかにもお化け屋敷っといった感じにそびえ立つバカサイユ・・・。 ああ、うらめしいー・・・・。悠里先生を守るためとはいえ、これは恐ろしいわぁ・・・。




先生、大丈夫か?顔色が優れないようだが」
「瞬くん・・・ありがとう。でもこれは乗り越えなければいけない試練なのよ!たぶん」
先生も可哀相だな、真壁と風門寺のわがままにつき合わされるとは、」
「・・・そうだね。瞬くんのその言葉を頼りに頑張ってくるよ・・・」
「何だったら一緒に入るか?」
「え、ほんと?!ありがとう!」
「キシシッ!ナナのくせに何ブチャを慰めてんだよォ〜!!」
「せ、先生を慰めてなにが悪い!」
「ケッ、ナナには似合わねーっつうの!」
「〜っ!殺す!!100回殺す!!仙道ッッ!!!!」
「悔しかったら仕返ししてみろよォー!ま、どーせ無理だろうけどなァ!」
「クッ・・・待て、仙道!!!」
「あーりゃりゃ・・・・瞬くんも頑張れー・・・」
「怖かったら、オレ様が一緒に入ってやってもいいんだぜェ、ブチャーッ!」
「あはは、ありがとう(・・・なんか逆に怖い気もするけど)」


慰めてくれた瞬くんだったが、これも清春くんに邪魔されてあっという間に去っていった。 慌ただしいのは、いつものことだけどそれでも何とか気を紛らわすことができる。 今の私に必要なのはアレ、に立ち向かう勇気と癒しが大切なのよっ!! あーもーっ!!!一人でうだうだと考えているとふらっと瑞希くんが現れた。



「・・・先生。大丈夫・・・?」
「瑞希くん!あ、瑞希くんはこういうの平気な方なの?」
「平気っていうか・・・・めんどくさい」
「はは、そうかぁ。じゃあんまり怖くないのかな?トゲーは?」
「トゲーッ!!!」
「・・・平気、だって・・・」
「うわぁ、トゲー根性あるねぇ。私無理だよ、アレすんごい怖そうだし!」
「・・・駄目なら一緒にはいってあげる・・・」
「あ、ほんと?うれしいなぁ」
先生!きもだめし苦手なんだって〜?悟郎から聞いたぞ!」
「・・・知ってるなら止めて・・・悟郎くんと翼くんを・・・」
「それは無理だ!走り始めたあいつらを止めることなんて俺には出来ない!」
「確かに、それは無謀だ・・・。うん、私頑張る。・・・なるべく」
「翼もすげぇ力いれてっからな、先生も楽しみにしといてくれよ」
「なんでそこまで乗り気になってるのよ・・・翼くん・・・」
「・・・そ、それはっ、まぁそんなことはいいじゃねーか!」
「・・・なんでそこで焦るの」
「ひ、ひみつってことで(言えるわけねー!!)」
「こっちは必死なのよ、もう!こわいこわいこわいこわいこわい・・・!」
「どーしても駄目だったら俺が一緒に入ってやるよ」
「うう、ありがとう・・・」


焦っている一くんだったが、その表情はどこかおもしろそうで気になったけれど、 後ろから掛けられた声のおかげで追求することはできなくなってしまった。 振り返ると、準備ができたらしく誇らしげな顔で立っている翼くんがいた。 おおお、出来てしまったのか最終チェック!早い、早すぎるっ!
そして聖帝の生徒たちはすでに中に入っていってる人もいる。 きもだめしはみんなで楽しもっ☆という悟郎くんの言葉からそうなったらしい。それにしたって度胸ありすぎだよ! 多分普段入ることのできないバカサイユに入る事が出来るなんてめったにないから 皆入っていくんだろうけど・・・。私はもう入れなくてもいいから勘弁して欲しい・・・!
でもこれは悠里先生のためなんだし、自分で決めたことなんだから突き通さなきゃ、教師として 失格になる!ファイト私!ちょーっと目を瞑ってちょーっと歩けばすむ話よ、覚悟をきめろ! っ!!
あ、でもまだ怖い、ちょ、ちょっと大分こわい!駄目だ、遠目で見てたときも 相当怖そうだったけど入り口のところに立つと余計怖い・・・!鳥肌立ってる! 逃げ出そうとして後ろをみた私だったが、すばやく翼くんが隣に立ち私の腕を掴む。


「副担、この俺と入ることを許す!さぁいくぞ!!」
「まま、待って!ちょ、やっぱまだ心の準備が!!」
「なにを言っている!所要時間5時間だから早くはいらないと日が暮れてしまうぞ」
「うわぁあああ聞きたくなかった、その予備知識!」
先生、俺たちも一緒にはいるんだからさ、ちょっとは落ち着けって」
「な、一!お前も一緒に入るのか?!」
「俺だけじゃねーぜ、B6全員だ」
「ツバサだけセンセとラブラブになるのって、ずるーいっ☆」
「真壁、あとでキャンセルしたバイト代払えよっ!!」
「オレ様がもっと怖い演出してやるぜェー!!ケケケッ」
「やめてぇぇぇええええ!!!!やっぱ駄目!無理っ!!」
「・・・先生・・・入る前から絶叫・・・・」




夏季限定につき注意
「悟郎、これのどこがLOVELOVEなんだ!話が違うぞ!!」
「やっだー、誰もツバサだけがラブラブになれるなんて言ってないじゃん☆」
「ぎゃぁあああああああ!おばけでたぁああああああ!!!」
「落ち着けって先生!ほら、掴まれよ」
「うわぁああ、ありがとおおおお、一くんっっっ!!!!」
「なぁにいいとこ取ってんだよォ、ナギ!!」
「ぎゃぁあああああ、清春くんんんんん!!!手!手!!!こわいぃぃぃい!!」
「チッ、仕方ねェなァ、ほらよ」
「あ、仙道!そう言うときだけ貴様はいつもいつもいつも・・・!」
「うわぁあああああ、でたぁああああああ!!瞬くんんんんっっ!!」
「なっ、先生!俺にも心の準備というものが・・・!」
「シュンってば抱きつかれるなんてずるい!ゴロちゃんポペラプンプン〜!」
「瞬!副担から離れろっ!!」
「先生・・・前からおばけが来る・・・僕につかまって・・・」
「ありがと、瑞希くんってどうわぁあああ!出たぁーっ!!翼くん怖すぎィィ!」
「WHAT?!お、俺が怖い?!何故だっ!」
「きゃーん!ゴロちゃんポペラこわぁーい!センセ助けて―ハグハグッ☆」
「悟郎くん、先生もとてもこわいよぉぉぉおおおおお!ぎゃぁああ!!」




最初は翼くんだけにしようと思ってたんですが、あれ、オール?
でもオールでぎゃいぎゃいしてるの好きなんでまぁいっか。
それにしても清春くん優しすぎだろう・・・(偽オーラ)