穏やかな午後である。 幸いもう今日は授業は入っていない。のんびりとした気持ちで職員室に入る。ドアを開けて一歩踏み出せば、 のんびり、なんてぶっ飛ばしそうな騒ぎが起こっていた。 おかしいな・・・今日のこの時間はみんな大体授業が入っているはずなのに。 その時間だけが私の癒しの時間となっていたのになぁ、とため息をつく。 いつもなら静かな部屋が喧騒に満ちているのを不思議に思ってその顔触れを見る。 「ハーッハッハッハ、そんなものに頼るばかりでは真の輝きは得られんぞ、天童先生!」 「くっ・・・この私の輝きに勝るとも劣らないものがあるとは、不覚!」 「・・・なに、やって・・・んですか。あなた方は・・・」 「ああ、副担。今帰ったのか。これは輝きを保つ為の練習だ!小さな事からこつこつとだな」 「なんでも真壁先生は、貴女の教え子だったらしいですね。通りで輝きが半端ない!ハッ!」 「いえ・・・、私は翼くんに輝き方を教えた訳ではないのですが・・・ええ」 若干呆れた感じで答えを返したと言うのに、2人は揃って得意げな表情だ。 待て、褒めてない。褒めてないぞ・・・!ハッ!だとか高笑いが聞こえる職員室を今すぐ出て行きたくなった。 この侘しい気持ちを分かって頂ければうれしい。 キラキラと輝き続けている室内はかなり眩しかった。 この2人・・・どうしよ、とか思ったが、翼くんの方は生徒の時からこればかりは治しようがないな、と思って いたし、天童先生に至っては4月からの付き合いではあるけれど、かなり根深い とこまでいっている気がする。 結論から言って・・・治せる訳ない。 しかも、あれだ、私は既にもう生徒たちの相手をするのに精一杯で、先生の面倒まで見ていられない。 なかなかに問題な先生も多いけれど、まぁ基本的には良い先生だと言うことだけは分かるのでもうなにも言うまい。 どんまい私の就職先、と本日2度目のため息をついて、落ち着く場所を探す為に職員室を後にしたのだった。 むなしくなんてない (5年後真壁+天童) |