春だと言うのに、まだまだ肌寒く感じる今日この頃。
桜は全盛の時を過ぎて、散りゆくばかりとなりました。
・・・・・・・・・・拝啓、悠里先生。いかがお過ごしでしょうか。



私は、海外の、しかも奥地に飛ばされてしまった悠里先生への御手紙を書きつつ、 この手紙が届くころにはもうすでに夏が始まっているかも・・・なーんて悪い予感を噛み締めつつ まぁ、なんというか。

阿呆達と戦っているのであった。







戦い、イコール戦争。そうこれは頭脳戦と言えば聞こえはいいのだろうが、ぶっちゃけこれは阿呆をちぎっては 投げ、逃げる阿呆をつかまえては縛りつける、と言った肉弾戦である。
頭脳?勉学以外の事に長けている奴らを率いるのはかなりの苦労が肩にのしかかる。 ・・・・・・・・・・・・ふぅ。



「なぁなぁ、先生!神輿に乗ろうぜ!」
「・・・・成宮くん」
「な、なんでぃっ!」
「その問い5の問題まで終わらせてからそういう事は言ってね」
「待てるわけねぇだろってんだ!なぁ、千」
「面倒だからこっちに振るな・・・、」



補習なんていつもこの調子で。
まったくもって全然進みやしない。やたらと神輿に誘ってくるのは、一体なぜなのか誰か教えて。
5年前にもB6の負けず劣らずのわがままも乗り越えてきたはずだけれど、神輿に乗ろうぜ!と誘われたり する事があるとは思いもよらなかった。
・・・・・・・・人生長い事生きていると色々な事が起きるもんである。不思議だ。
そう感慨にふけっていると成宮くんの隣の不破くんが綺麗に制止していた・・・・これは睡眠である。 教壇から降りて、彼の席まで歩きその寸分も動かぬ頭をパコーンっと夜通しで仕上げたプリントで一発入魂した。
・・・・・・・良い音が教室に響いた。しかし良い音と言う事は、中身は空っぽ・・・いいや、今考えるのはよそう。



「こら!不破くんも座ったまま、寝るんじゃありません!」
「座ったまま寝るなんて美しくありませんね。・・・ハッ!」
「あの、ハッ、とかいいですから。ほら、天童先生っ!多智花くんを捕獲して椅子に戻してください」
「・・・・げげっ、気付かれたナリ〜っ!」
「ヘイヘイヘイヘーイ!なんだか苦労してるみたいだなっ」
「あ、ちょっと加賀美先生?!どこ行ってたんですか!」 「へ?・・・もしかしてオレを探し「人手が足りないんですから、早く嶺くんを捕まえてきてください」
「・・・・加賀美くん。・・・・・・・ご愁傷様」
「ちくしょぉぉぉおお!・・・・探してくるYO!」
「いってらっしゃーい。あ、桐丘先生・・・・良かった、来てくれたんですね」



やはり何と言っても抜群の安定感を誇る桐丘先生は、本当にいるだけで安心する。
だっていきなりジャケットプレイをかましたりしないし、いきなり教室がライブ会場の様になる事もないからだ。 多少のレース編みはこの学園では本当に、普通の趣味だと思える事には思えるし。
まぁ、でも?そんな頼りがいのある桐丘先生がいても、まだまだ不安である。なぜなら今日の1番の問題児は・・・、



「ヒャハハハッ、こいつ水鉄砲くらっても、まァーだ寝てやがるぜェ!マダラよりスゲェんじゃね?!」
「あのねぇ・・・・・・・・・・・・君は特別講師でしょ。妨害してどうするの!」
「・・・・くぁぁああ。ん?なにかあったのか。面倒だ・・・・・・・・ぐー、」
「コイツ、さいっこー過ぎるぜェ!」
「不破くんもまた寝ない!ああああ、瑞希くんを思い出すーっ!もう!」



不破くんが目蓋を閉じるたびに、清春くんの手には学生の頃に持っていたものとは大分違う小さめのサイズの水鉄砲が 握られる。
いくら寝ているのを起こす為とはいえ、そこからから飛び出した水を顔面にいきなり浴びせるのは度が過ぎている気が する。本人はまるで気が付いていないのが、救いと言うべきか不幸だと言うべきか・・・。
さっき殴った私も人の事全然言えないし、度が過ぎるといえば、それはもう5年前からえげつない悪戯を 繰り広げていた清春くんに限っては今更な事実だけれど。



「なァに言ってンだ、オマエの為に俺ッ様が来てやってんダローがッ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう」
「今の間、・・・・っンだよ!」
「こらこら、仙道先生もあまり先生を困らせるものではないよ」
「ケッ、ポッと出のアンタに言われたくねェなァ!」
「なんですか、仙道先生、桐丘先生?喧嘩は美しくありませんよ。・・・・ハッ!」
「オメーはキラキラキラキラ、うっとーしいンだよッ!」
「おーい、!嶺の奴、見つけたZEーっ!」
「なぁに、慌てて引っ張らないでよね。髪のセットがくずれてマジない系〜」
「ジャカジャカうるせェェエエッ!集中出来ねェッつうの!」



微妙な返事に怒った清春くんを止めた桐丘先生だったけれど、清春くんもなかなか食い下がる。
しかしそこの微妙な空気のなかに遠慮なく天童先生が入ったせいでさらに訳分からなくなって、大変な事態に。
さらに嶺くんを連れて帰って来た加賀美先生のギターが鳴り響き・・・・・・、

清春くんの言っている事に、納得できてしまった自分が、少し悲しいような。
ひたすらなんともいえない複雑な気持ちになったのであった。











こういうこと結構あるよね
                         (A4+GTR+仙道)