「私、ウインタースポーツだけは苦手なんだよねぇ・・・」
「そうなのか?!じゃあ俺が教えてやろうか?」
「本当?嬉しい、ありがとう、一くん!」



そして一面に広がる銀世界・・・!森の動物たちと戯れつつ、先生の手を取ってのスノボー合宿!
そして最後に「一くんがいてくれて本当に良かった!助かったよ」という言葉と共に先生の満面の笑み。
最高だ、最高すぎる合宿になりそ、・・・・・・・・・・・・・・・・!





**










「いってぇえええええ!!!なにすんだよっ、ひでぇな!」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」



まだまだ青い高校生、草薙一はそこまでの妄想を繰り広げた後に、ずがんと一発後頭部への衝撃を真っ向から受けた。
痛みに耐えつつ、頭を撫でながら後ろを振り向けば、B5の面々の呆れた顔が並ぶ。
だがしかし、草薙は声をあげて言いたかった、これだけは言っておかなければならなかった。ぐっと拳を握って、そう思う。
そう・・・お前らだっておんなじこと考えてたくせに・・・・・・・!!!!


「ハジメーほんとさぁ、そういうのポペラ都合のいい妄想っていうか☆パラッペ実現不可能というか!」
「そ、そんな事ない!そんな笑顔で言うなよな!」
「Shut up!酷いのはお前の頭だと思うがな・・・」
「翼にそんな目で見られる日が来るとは思ってなかったぜ・・・」
「ほんと・・・・かわいそう・・・。現実はそう甘くない・・・」
「ッてか、ナギの考える事は全部お見通しなンだよッ!」
「ふ・・・草薙の思い通りにはいかないということだな」
「ほ、本当に容赦ないな、お前ら・・・。タマー!こいつら酷いよなぁ!」
「ニャーッ!」



ぎゅっとタマをだっこするとタマは嫌そうに身体をねじった。少々力が入り過ぎていたらしい。
慌てて力を緩めると、するっと腕から逃げ出して華麗に着地してまた一声鳴く。 そしてバカサイユから出て行ってしまった。聞き取れたタマの言葉は、自業自得だろと吐き捨てられた気がしたが、 いや、そんなタマに限ってそんなことある訳、と首をぶんぶん振って否定する。



「そもそも副担を教えるのは俺以外にいないだろうが!この溢れんばかりのビッボーウと財力が、」
「やっぱりなにかを教えるって言ったらゴロちゃんでしょ☆か弱いゴロちゃんが1番親近感が沸くと思うし!」
「僕ならコツをしっかりと教えてあげられる・・・・効率の良く覚えられて後はまったりも出来る・・・」
「ハァ?スポーツって言ったらオレッ様以外いねェっつの!つー訳でェ、オレ様が適任だな!」
「あんたたちじゃ、先生を振りまわすだけ振りまわして終わりだろうが、やはりここは俺だな」



結局のところはそうなのだ。妄想がどうのこうのとか言う割に自分たちの妄想も果てしない。
勝手な事を言い始めるB5たちを今度は自分が呆れた目線で見る。

はぁ、とため息をついた所で、放課後の補習のお誘いにやってきた先生がバカサイユのドアを開いた。
俺は努めて冷静に切りだす。



「あの、さー・・・先生ってウインタースポーツとかって不得意だったり、する?」
「なに、突然どうしたの?一くん」
「や、ちょっと気になって」



微妙に濁して、どうなのかを問うと先生は変なの、と首を傾げた後バカサイユに響く声で俺に (まぁ後ろで、どうなんだ?!と待ち構えてる5人も含め)言った。



「私、ウインタースポーツは得意なの」



にっこり笑顔が、一面の銀世界よりも眩しくて、俺たちは揃ってくらりとめまいを起こしたのは言うまでもない。










夢が夢と消える瞬間

「なに?みんなウインタースポーツ苦手なの?教えてあげようか?」
「いや、俺たちはみんな、得っ・・・いっだァッ!」
「え〜ゴロちゃん、スノボとか怖いからセンセに教えてほしいなっ☆」
「ふん、副担がそう言うなら教わってやってもいいぞ」
「僕・・・ウインタースポーツ苦手・・・難しい・・・」
「ケッ、なっかなかコツ掴むのに大変なんだよなァ・・・」
「教えてもらった方が効率も上がるだろうし、そのほうが都合がいいな」
「お前ら・・・・・・・・・・・・・・・・・」





XtoZ楽しみだ!