「だーかーら、協力してくれませんかっつって・・・お願いしているんじゃありませんか〜」
「おい、今お前・・・邪悪な気を纏ってた気がしたぞ・・・」
「えー、何か?ありましたか?ふふふ」
「こんにちは、あれ・・・そちらの方は?」
「花梨の姉だって言ってるけど」
「そうなんですか、花梨さんに姉君がいらしたとは知りませんでした」
「あら、あらあらまぁまぁ!可愛い〜。はじめましてと申します」
「初めまして、彰紋と申します。よろしくお願いしますね」
「ああ・・・・こちらこそよろしくお願いしますね。花梨を」
「え?ああ、はい、」




彼の横でじゃらーっと上がる緑の星を見つめていると彰紋くんが怪訝そうな顔で見てくる。
なるほど今の私のタイプ的には彰紋くんがジャストなのかぁ、なんて思案していると 勝真さんが余計に不審そうな眼で見てくる。まぁそうだよね、がさつな印象の私と、優雅で雅〜な感じの彰紋くんは まったくもって釣り合っていない。だってこの性格は勝真さん専用のものだし、彰紋くんに受け入れられるような 性格じゃない。ただ優しいし、第一印象はそう悪くないからなのかな。

それにしてもおっかしいなぁ。
適当にさばさば系女子である私と勝真さんは相性的にいけると思ったんだけどそうもいかないみたいだ。
とにかく星の上がり具合が微妙。とっても微妙で、一言で星がだばーっと落ちたりもする。こりゃ酷い、 慎重に行かなきゃいけない所だとは思うのだけれど、あんまり1人に構ってもいられない。 なにしろ花梨ちゃんと私にはそんな時間がない。早く絆を上げて早く現代に帰りたいのだ。
これは花梨ちゃんと私が結んだ約束みたいなもんだ。龍神の神子でもなんでもない私まで飛ばされてきて、 それでいて花梨がやりとげなければ現代に帰れない、なんて。協力するしかないだろう。

しかも彼ら、確か八葉とかいったか、と花梨ちゃんの絆を上げないと合体技も封印もなんか幽霊を倒すのにとっても 必要な事らしいが、それも行えないらしい。 普通の女の子だった花梨ちゃんがいきなりそんな事を行えるはずもない。
かといって味方と言える人物は今住まわせてもらっている 家にいる紫姫という小さな可愛らしい姫君とここに来て間もないちょっと緑の星が見える私だけときた。
花梨ちゃんの不遇さが身にしみるわぁ・・・・。

袖に涙を滲ませれば、2人はハテナを飛ばすばかりだ。そうだろうとも、お前らには分かるまい花梨ちゃんの 頑張りをな!!!
たった1人でこんなところに飛ばされて頑張って来たんだぞ、2週間前に風呂に入っていた私が偶然こっちの湯殿に飛ばされて くるまで彼女はただ黙ってここでの自分の使命をもくもくとこなしていたのだ。






★☆★☆
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「だ、誰ですか・・・!」
「神子さま・・・?どうなさったのですか」
「えっ、いや、女の人が・・・!」
「・・?ここどこ・・・?私風呂入ってたはずなんだけど・・・このままだとドラマ再放送間に合わん!!」
「わっ、あなたも現代から?・・・紫姫ー!!なんか現代から私と同じように飛ばされてきてる人がいる!」
「神子さまどうなさったんですか?・・・・・・飛ばされて?で、でもそうですね、あなたも龍神の気が感じられます・・・」
「間違ってもってきちゃったのかな・・・!気にひきずられたのかな」
「あの・・・とりあえず恥ずかしいから服着ていいかな。それから話し聞くし」
「あっ、そ、そうでしたね!ごめんなさい、紫姫、何か着るものあるかな?」
「はい、すぐに準備します、お待ちくださいませね」




紫姫という小さな可愛らしい姫が用意してくれた着物っていうかよくわかんない衣装をとりあえず頭からかぶり、 シャワーを浴びた後だった私は頭の上にタオルを乗せながら、彼女らの話を聞いた。
分かったのはここは現代じゃない事と、とりあえず花梨ちゃんの手助けをしないと帰れないと言う事だった。
分かりやすいなー、とか思いながら花梨ちゃんを見れば、私以上に不安そうな顔をしていたので、私は安心させるために、 頭に手を置いてよしよしとする。はーかわいい。癒されるわー。




「大丈夫、長めの休暇だと思うから。仕事ばっかりで疲れてたし丁度いいよ。うん、私、花梨ちゃんを手伝う」
「えっ、そんな簡単に・・・!?」
「どっちにしろそれが1番早いでしょ?」
「ええ、神子さまと同じ所からいらしたのでしたら、それが1番だと思いますわ」
「2人ともかわいいし、私、花梨ちゃんが帰れるように頑張るね」
「「えっ・・・・!」」
「ん?・・・・今のなんだろ」




にっこり2人に微笑みかければじゃらーっと上がる緑の星たち。
な、なんなんだ・・・今の・・・と思って2人の顔をみれば、特にそんな素振りは見せず私に向かってぱぁっと 華が開くような笑みを向けてきてくれるばかりだ。
それらの星はどうやら私にしか見えていないらしい。これ・・2人の好感度ってことだよね。
多分好感度があがるとこの星が上がるという仕組みなんだろう。
なんというあからさまな・・・いや分かりやすいシステムなんだろうか。うん。いや有難いっていう意味で。




「とりあえず私は何をすればいいかな!花梨ちゃんとその・・葉っぱとの絆を上げればいい?」
さんさん、葉っぱじゃなくて八葉ですよ、神子を守る人の事です」
「・・・今は守ってくれてないの?」
「それは・・・まだまだ全然で。私を神子と認めてもない状態なんです」
「神子さま・・・紫が・・・紫がもっと力になれればこの様なことにはならなかったのに・・・ごめんなさい神子さま」
「私こそごめんね。紫姫、もっと力があればこんな想いさせなくても良かったのにね」
「泣かないで、紫姫、花梨ちゃん。つまり、認めさせればいいんだよね、葉っぱたちに」
「だから葉っぱじゃないです」
「いいの!こんなに健気に頑張ってる2人をないがしろにする奴らは葉っぱで十分!!」




というか花梨ちゃんだってこの京の人間じゃないのだから、助けてやる義理なんてさっぱりないはずなのに、 助けようと思っているなんて、それだけでもう・・・!なんていい子なんだろうか!
それを分からずに、協力してくれない自称神子を守る八葉なんて認めてやるものか!!こちらから願い下げだわ!
私が花梨ちゃんを守る!!!と立ち上がりそうになるのを堪えて、花梨ちゃんの手を握る。
私が味方しても星が見えて、そこから絆が生まれるかどうかってのが分かるだけなのがもどかしい気持ちになってきた。 なんであいつら、八葉は協力すると強力な技が使えると言うのに、別に必要とされていない私にはなにもないんだろうか。
とりあえず協力させてやる!という気持ちだけは強く持とう、と思いながら口を開く。




「じゃあ今日からは私も2人の味方・・・頑張ろうね」
さん・・・ありがとうございます」
さま・・・・!紫はうれしゅうございます。心強いお仲間ができましたね、神子さま」
「うん!そうだね、明日から3人で頑張ろう!」






お星さまにお願いっ★☆

「そんな寒い格好していて、風邪ひいちゃってもしりませんからねっ!」
「はぁ?なんだよ、頭でも打ったのか?」
「・・・・・・ちっ、これも駄目か、定番王道ツンデレ系女子・・・」

「ねーどうしよ、このままだと八葉揃わないよ〜ツンデレも駄目ならなんなんだろう。勝真さんのタイプ・・・はぁ」
「確かに難しいですよね。でも今まで絆上げられているんできっと勝真さんもいけますよ!」
「うん、花梨ちゃんの為なら頑張るけどさぁ。ほんっと・・・ヒットする女の子像がないんだよね、難しい・・・」
「私たち無事現代帰れるといいですよね・・」
「ふぅ・・・本当だよねー。花梨ちゃんもめきめき強くなってきたし、あとちょっとじゃないかなぁ・・・!」
「はい、頑張りましょうさん」
「うん!とりあえず目指せ八葉だね!・・・・でもまだ五葉だもんなーこれで龍神許してくれないかなー」
「言ったそばから!駄目ですよっ!八人全員そろえるんですから!」
「はははっ、花梨ちゃん、手厳しいなぁ」







(110211)