「Rー!なに食べてるの〜?俺にも一口ちょうだ……っ!危なっ!」
「…あぁ、ごめん。つい害虫かと思ってつい」
「ついが多い!それでナイフ投げつけないでくれよ〜!」
「あっはっは。・・・許して」
「しょうがないな、君の願いなら許すよ。特別にね」
「わーGって本当に優しーいびっくりー」


いつもの本部にはいつもは聞こえない声が聞こえてきた。学校を終えたAはいつも通りに本部へ向かっていた。 そこで聞こえてきた声は、Gと誰か知らない人の声。そっと扉を開いて覗いてみると声を失うくらいの 状況になっていた。
Gが男の子にパフェ食べさせてもらってる…?!!どういう 状況でどんな風になったらこんな事に?!


「はーい、あーんは?」
「G…、あーん」
「あー!幸せだなぁっ!俺は世界で1番幸福な男だぜ」
「あのね、Dがせっかく作ってくれたんだから、あんまりがっつかないでくれるかな」
「なになに?Dが作ったのか。どーりで美味いはずだよ」
「だよね。だからDって好きだよ。こーんな素晴らしいものを作っちゃうなんて・・・はぁ、幸せ」
「おやおや、ビーナスちゃん。そんな顔しちゃって、嫉妬しちゃうなぁ」



どどど…!どうしよう!?まさかGが男の子もいけるなんて!
で、でも確かカトルくんのミッションの時も男の子なのに好みのタイプって言ってたしなぁ。どぎ まぎしながら中を覗いていると、ふ、と背後に立つ気配に気が付いた。



「わ、な、N!!」
「うるさいぞA。なにをこそこそやっている…早く入れ。…っ!」



背後から自身をすり抜け、扉を押して入ったNは立ち止まった…おそらく…いや確 実にあの現場を見てしまったからに他ならないだろう。後から慌てて入ったAは その背中におもいっきりぶつかってしまった。それを支えるNの手は少し震えて いた。あのいつも冷静なNが…!
大丈夫だろうかと顔を覗き込むと、そこにあったのはなんともいえない表情だった。ちなみに部屋の中にいた2人は、 2回目のあーん、の状態で固まっていた。スプーンはGの口の中に突っ込まれたままだっ たので間抜けな事この上ないけど、腐ってもGは今引っ張りだこのモデルであり 、メトロポリスXのリーダーだ。それも形になっている気がする。
ぽかんとNの腕に支えられたままでいると、痺れを切らしたNがAの腰を離して2人の中に入っ ていく。Nってさすがというか…怖いもの知らずというか…私には無理だ。



「お前は…本当に鋏の錆になりたいみたいだな」
「いやいや…!?ちょっと?Nさま?!待って待って!Aの前でそんな…?!」
「煩い!」
「うん…?A?もしかしてエースストライカーのA?」
「…!」



ぴょこっと長身の2人の言い争いから出てきたのは、さっきGにパフェをあーんしていた人だ 。思わず赤くなる。


「あ!初めまして。可愛いお嬢さん、会えて嬉しいよ。えーと聞いた事あるかな、Rです」
「…っはい!LBの補佐をやってくださってる…!はじめまして、私はAです」
「あはは、固くならなくても大丈夫だよ。それにしてもAは本当に可愛いなぁ」



手を取られて目の前でにっこりと魅力的に微笑まれたAは瞬時に固まった。…こ、これはGがはまるのも分かるかも…!
固まったAとにこにこのR、それを背後から見てしまったGとNは表情を歪ませた。Aも 目の前でRの甘い微笑みを見せられてしまえば、言葉を失ってしまう。何か話さ なければ、と思えば思うほど口からは言葉はどんどんと喉から飛び出さなくなっ てしまう。



「あ、ああああの!Rは…!」
「落ち着いてゆっくりで大丈夫だよ」
「ありがとうございます…」
「Aは照れ屋さんなんだね」
「いっいえ!別にそういう訳じゃ…!」
「そこまでにしてあげて、R」
「M!?」
「そうだよ、この子はアンタに慣れて無いんだから」
「Q?!」
「だって可愛いから、ついからかいたくなっちゃって…ごめんね、A」
「私は全然!何も気にしてま、「あのね、A。アンタは勘違いしてるかもしれないけどRは、女 だよ」
「クワイエット、」
「え…?お、んな…?」
「そうよ。Rは女。心配しなくて良いわ。私たちも騙されたから。女だとは分かっててもやっぱり動揺しても 無理はないわ」



いつのまにか部屋に入り込んでいたらしい、さすがはLB。…と か今、そんなのは関係なくって!今、Qはなんて…?QMの方へ向けていた視線 をRに戻す。するとその口から再度衝撃的な言葉が転がりおちた。



「言わなくても分かると思うんだけど…わたし、女だよ?」
「え…ええええええっ!!!」
「まぁ無理もないさ。ってG、N…。何、固まって…はっはーん、分かったよ」
「Q…にやにやするのは止めろ」
「ごめんね、俺のミツバチたち。一瞬とはいえ君たち以外「うるさいわ、G」
「その容赦ないお言葉も素敵だぜ!」
「あの…本当に?」


GやNを気にしていられるほど、Aの心は広くはなかった。
何度も確認を取る事ほど失礼な事はないけれど、それでも聞かずにはいられない 。それくらい不思議な感じがしたのだ。まぁ男の子といってしまうよりは可愛す ぎる気もしてしまうけど。それでも再度Rが頷いた事によって突き付けられた真実はAに十分過ぎるほどの衝撃を与えた。



「…人って…まだまだ分かんない事ばっかりだね」
「そうね。でもそれもそれで楽しいわ」
「みんな違ってみんないい、とかそんな言葉があっただろ?」






個性的という言葉







前回は先代のAで今回はアンナの方のAとの出会いです。



(100211)